医科の先生へ
患者さんの受け入れ・
ご紹介のお願い
(医科歯科連携)
HSデンタルサロンでは、現在医科における下記の治療をはじめとした患者さんの口腔機能管理を行える体制を整えております。医科で行う一般的な治療にプラスして口腔機能管理を組み合わせることで、薬の量や入院日数の減少などが期待できるだけではなく、さまざまな病気の治療効果が高まります。当院は、患者さんの健康サポートにご協力いただける連携医療機関を探しています。
糖尿病
糖尿病は1型2型を問わず歯周病になりやすく、悪化しやすいことが知られています。反対に、歯周病患者の糖尿病発生率も高く、歯周病と糖尿病は相互に関係し合っています。(糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第3版 2023)。
糖尿病を有する歯周病患者への歯周治療によってHbA1cが有意に0.36%改善したというランダム化比較試験(Francesco D'Aiutoら,2018)をはじめ、国内外の複数の報告により、歯周治療による血糖コントロールの改善効果が支持されていることが示されました(糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第3版 2023)。
医科より糖尿病の患者さんをご紹介いただきましたら歯周治療を進めてまいります。また、歯科にて糖尿病が疑われる患者さんを医科へご紹介することで、医科歯科の連携を通じて患者さんの健康をより効率的にサポートしていけると考えております。
当院の歯科医師は、日本糖尿病協会登録歯科医です。糖尿病を治療中の方で、歯周病についてご質問がございましたら当医院の歯科医師にご相談ください。
金属アレルギー
顔や手足の赤みやかゆみ、繰り返す口内炎などの症状は、むし歯治療で使われた銀歯による金属アレルギーが原因となっている場合があります。お口の中の銀歯などの金属は、常に唾液と触れる環境にあり、金属イオンとなって口の中に溶けだしやすい状態です。溶けだした金属イオンが体内に蓄積されるとアレルギーの原因になります。
銀歯などの金属の詰め物・被せ物をセラミックやレジンを用いた「メタルフリー」の歯科素材に変えることで、長年の症状が改善する患者さんも少なくありません。当院では金属アレルギーを心配されて「メタルフリーの歯科治療」を希望される方が増えています。
「メタルフリーの歯科治療」を行う際には、患者さんに「歯科金属アレルギー」の診断のための皮膚科受診をお願いしております。また、口の中の金属を除去する際にアレルギー症状が一時的に悪化した場合にも皮膚科受診をおすすめしております。
「歯科金属アレルギー」による皮膚疾患の患者さんには「メタルフリーの歯科治療」を進めてまいりますのでご紹介ください。医科と歯科の連携を通じて、患者さんの健康を総合的にサポートしていければと考えております。
歯科金属の影響による皮膚疾患
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- 汗疱(かんぽう)
- 痒疹(ようしん)
- 蕁麻疹(じんましん)
- アトピー性皮膚炎
- 多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)
- 貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)
- 扁平苔癬(へんぺいたいせん)
- 乾癬(かんせん) など
歯科金属アレルギーでみられる症状
繰り返す口内炎・舌炎
頻繁に口内炎ができたり、舌の痛みが出たりします。
アトピー性皮膚炎のような症状
手のひら、足の裏などの身体にアトピー性皮膚炎のような皮膚の炎症がみられる場合があります。
味覚の異常
溶けだした金属成分の影響により、味覚の異常が起こる場合があります。
口元や顔の腫れやかぶれ
唇や顔にかぶれ、ただれのような症状がみられることがあります。
掌蹠膿疱症
(しょうせきのうほうしょう)小さな水ぶくれや膿を持ったぶつぶつが手のひらや足の裏に複数できます。
肩こり・頭痛などの症状
肩こり、頭痛、めまいなどの症状が金属アレルギーによって現れる場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群のマウスピースを用いた治療は2004年から健康保険の適用になりました。医師が睡眠時無呼吸症候群の診断を行い、マウスピースによる治療を歯科にご依頼いただけた場合に保険適用となります。そのため、紹介状の作成をお願いいたします。
保険適用時の自己負担額は、3割負担の場合で約1万円から2万円です。
治療は以下の流れで進めます。
- ①むし歯・歯周病・顎関節の検査と問題があった場合の治療
- ②歯型の型取り
- ③マウスピースの製作と調整
睡眠時無呼吸症候群の重症度や歯型、顎関節、唾液量などの状態により、マウスピースによる治療が適応とならない場合もあります。医科との連携を取って、患者さんとも相談しながら治療を進めてまいります。
腎臓疾患
腎臓疾患と歯周病は深い関係があることが明らかになっています。腎臓は体内の血液をろ過し、老廃物を尿として排出する重要な役割を担っています。この機能が働かなければ、体内に老廃物が蓄積され、健康に悪影響を及ぼします。
歯周病は、歯周病菌によって歯ぐきに炎症が起こる病気ですが、これらの炎症性物質は血流に乗って全身を巡ります。その結果、腎臓を含めた全身の臓器にも炎症が引き起こされる可能性があるのです。炎症性物質が腎臓に達すると、腎臓の機能が低下し、腎臓疾患の発症や悪化のリスクが高まります。
腎臓疾患の予防には、口腔ケアにより、歯周病菌の原因となる歯垢や歯石を除去することが重要です。定期的な歯科受診を通じて腎臓疾患の発症・悪化の予防をサポートしてまいりますので、歯科受診の必要性をより多くの患者さんにご理解いただければと思います。
骨粗しょう症
骨粗鬆症の治療において、歯科の役割は非常に重要です。歯周病は顎骨壊死のリスク要因です。そのため、骨粗鬆症治療中の顎骨壊死予防として、3ケ月ごとの歯科の定期受診による歯垢・歯石の除去などのメンテナンスが推奨されています(宇田川信之ら,2024)。骨粗鬆症の患者さんに骨吸収抑制薬の治療を開始する際には、歯科受診をすすめていただくことをお願いしております。
歯周病などの炎症がある場合やむし歯や歯周病などによる抜歯を行う場合は感染リスクが高まり、MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)の発生にもつながります。歯科受診によって口腔内を清潔に保つことで、歯周病を予防・治療し、侵襲的な歯科治療を避けられる可能性があります。万が一、MRONJを発症しても、早期発見・早期治療で重症化の予防が期待できますので、密な医科歯科連携を通じて、患者さんの健康をサポートしていけましたら幸いです。
認知症
「噛む」ことと認知症の発症リスクには密接な関係があることが報告されています。
「噛む」ことは脳への血流を促し、神経活動を活性化させることで認知機能の維持に役立つことが示されています。また、複数の歯を失っている場合や硬い食べ物を噛むのが難しいシニアの方は、認知機能が低下するリスクが高いことが明らかになっています。(R A F Weijenberg ら,2010)
日本での研究においても、歯の本数が少ないほどアルツハイマー病の発症率が高いことを確認されました(Midori Tsuneishiら, 2021)。
認知機能の低下を予防するためには、毎日の口腔ケアと定期的な歯科受診により、自分の歯を守ることが欠かせません。そして、万が一、歯を失った場合には義歯で補い、「噛む」機能を維持することも大切です。
妊婦
早産や低体重出産を予防のために、妊娠中の歯周病治療は非常に重要です。妊娠中の歯周病は早産や低出生体重児出産のリスクが2.83倍(早産2.27倍、低出生体重児出産4.03倍)高まることが報告されています。(Jean-Noël Vergnes , Michel Sixou, 2007)。
妊娠中期から後期は女性ホルモンのバランスの変化により、歯周病菌が増えやすく、炎症が起こりやすくなるため、妊娠性歯肉炎が発生しやすい時期です。妊娠中も定期的なメンテナンスによって、プラークコントロールを図り、歯周病の発症と重症化を予防することが大切です。
妊娠初期は体調が不安定でつわりもあるため、妊娠5ヶ月ごろに歯科受診し、妊娠中期のうちにむし歯や歯周病などの治療を終えておくのがよいでしょう。
関節リウマチ
歯周病と関節リウマチの関係も注目されています。関節リウマチ患者の口腔内は、衛生管理が不十分であったり、乾燥しやすく易感染である傾向から歯周病になりやすい状態です。
また、関節リウマチ患者の血液中には、発症前から抗シトルリン化蛋白抗体(抗CCP抗体)が高頻度で検出されることがわかっています。歯周病菌の一種であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌はシトルリン化酵素を産生して、抗CCP抗体の産生を引き起こす可能性が示唆されています。
国内における研究では、抗CCP抗体がみられる場合に歯周病が重症化しやすいことが示されました。
さらに、初診時に歯周病をもつ未診断の関節痛患者は歯周病のない患者と比較して、その後に関節リウマチと診断されて治療を開始するリスクが約2.7倍高くなることが報告されています(Chikashi Teraoら,2015)。
当院は医科歯科連携に
力を入れています。
医科の先生方との連携により、
歯科治療を通じて病気の悪化を予防し、
総合的な医療で患者さんをサポートしています。